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「UA値」検討する前に知っておきたいこと


テレビを見てたら住宅会社のCMで
UA値0.55…とアピールしてました。
自信が無いと数値は出さないと思いますが
これってどんなレベルなんでしょうか?

UA値は多くの方がご存知の通り
住宅の「断熱性能」を表す数値です。

正式に日本語で言うと
「外皮平均熱貫流率」と言い
ちょっとややこしそうですが
字面を見るとイメージしやすいです。

「外の皮」という通り 家の外との境にある
外壁、屋根、床、窓 その部分の「熱の貫流」とありますから
熱の通しやすさ 逃がしやすさを

「平均」とあるように 家全体で平均化した数値です。

逃げてしまう熱ですので
数値が低いほど高断熱の家となります。

今回のご質問の0.55という数値は

東京近郊での建築であれば さほど悪くないとは思います。

ただ、そもそもこの数値「だけ」で判断するのは危険です。

そもそもこの数値はどうやって導きだされるか?というと、
間取りや断熱仕様や使うサッシが決まると

机の上で計算できます。現場で測定する物ではありません。

だから気を付けるべき一つ目としては
正しい施工が伴わないと意味が無い机上の数値だということ。

そして二つ目は…同じ住宅会社で、
同じ仕様の家を建てたとしても 間取りが異なれば数値も異なる
ということ。

わざわざ莫大なコストを掛けてCMをうつのですから
会社は「この数値が良くなる間取り」で計算したはずですが

その間取りが暮らしやすいとも
皆さんが住みたい間取りとも限りません。

邸ごとに計算されるべきだと知っておいてください。

三つ目は先ほども言ったのですが

UA値のAはアベレージのAで平均ということです。
壁・床・天井・窓これらの部位の数値を
「平均化」しているのがミソです。

つまり どこか弱点があっても それを補う長所があれば
平均化され数値上はそれなりの成績になります。

では実際の住み心地はどうか?と言えば
ある特定の一部の断熱が悪いと実際の体感としては
不快になりやすいです。

昔の古いお風呂に張ったお湯みたいに
上のほうはめちゃくちゃ熱いけれど下のほうはぬるい…
かき混ぜればちょうど適温で心地良いとしても
混ぜずにそのまま入れと言われたら嫌ですよね?

平均すればちょうどいいから良いということには
ならないですよね?

各部位のバランスが悪くても
計算上の数値ではそこそこになることもある

でも、それでは快適になるとは限らないことは
知っておいてください。

最後にもうひとつ

一般的に「窓」より「壁」のほうが熱を逃しにくいです。
ということは同じ間取りでも窓を小さくすればするほど
このUA値という数値に限れば良くなります。

ではそういう家の実際の住み心地はどうか?

皆さんが想像された通りです。

極端に窓の面積を減らせば薄暗くなり
昼でも照明が必要な家となれば不快です。

さらに、そもそも「省エネの家にしましょう!」
といってUA値という数値を使って断熱性能を気にしているのに

とても強力な しかも 無料のエネルギー源である
日照を閉ざすことになります。

冬の日差しが如何に暖かく有難いか?
信州の厳しい冬の寒さの中で暮らす方なら
誰でも分かるはずです。

窓を少なく小さくするということは
この日差しを活用しないということになります。

机の上の計算では 窓が小さく少ないほど
UA値は良くなりますが 逆にあまり数値ばかりにこだわると
家の快適さという本質を見失いかねません。くれぐれもお気を付けください。

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