総合住宅展示場の謎
家づくりを考え始めたばかりで
まずは総合住宅展示場に出掛けました。
大手有名メーカーばかりで、どの家も
大きくて豪華でステキでしたが、正直
凄すぎて参考になりませんでした。
なぜ豪邸ばかり建っているのですか?
よく戴く疑問です。答えから言うと
複数の住宅会社が競い合って
建ち並んだ「総合」展示場だからです。
各社が「他社に負けじ」と
お互いに張り合っているうちに
エスカレートし過ぎてしまった…結果です。
何社も建っていますので
お客様は「せっかくだから」と
一度に何社も見て廻るだろうと
すると
よっぽど個性的でインパクトが無いと
お客様から忘れられてしまうだろうと
だから選んで頂くためにも
お客様の印象に残らないと!
と各社が考えるからです。
でも、皮肉ですが、その結果
質問者様が感じられた通り
一番大事なお客様が置き去りという
残念な結果に繋がっています。
たしかに今のそういった状態の
総合展示場の中で
もし一社だけが普通の大きさの
標準仕様の家を建てていたとしたら
非常に貧相に見えてしまうでしょう。
つまり「総合住宅展示場」という場所は
各住宅メーカーの設計力とかデザイン力とかの
お披露目合戦の場になっています。
車で言うと「モーターショー」の
感覚に近いのだと思います。
「モーターショー」というのは
車を買う方が参考に見に出掛ける
場所ではないですよね。
初めてお披露目されるような
「コンセプトカー」などを
見るためにマスコミやコアなカーファンが
出掛ける所ですよね。
女性の場合「ファッションショー」
のほうが分かり良いですかね。
モデルさんが着ているオートクチュール
というのは
実際に普段、皆さんが着ている服とは
相当にかけ離れているはずです。
状況としてはこういうものに近いですね。
もちろん各社が設計やデザインの
お披露目合戦をしたいのは勝手ですし
別に構わないのですがひとつ問題があります。
それはこの仕組みには莫大な費用が
掛かっているということです。
それだけ大きな豪華な建物を建てる建築費
そしてもちろん家だけでなく
置いてあるものも見栄えが良いように
高級な家具に、最新の家電、
さらに建物の外の外構造園にも
かなりのお金を掛けて素敵に演出します。
建物+家具+家電+外構造園=
ざっと1億円と言われています。
さらに…もちろん別途「場所代」
(出展費用ですね)も掛かっています。
で、私は、この質問をお客様から戴いた時に
逆に、お客様にある質問を必ずしています。
それは…「入場料は取られましたか?」
という質問です。もちろん半分冗談です。
もちろん取られません。
でも、先ほど例に挙げた「モーターショー」や
「ファッションショー」は、
もちろん入場料を取られます。
それを見たい人がお金を支払います。
そのショーの運営に掛かる費用を
「見る人」も負担しています。
しかし住宅展示場の経費に関しては…
誰がお金を負担しているかというと
「見る人」ではありません。
もちろん「住宅メーカー」が負担している訳ですが
そのお金の出どころをさらに遡っていくと…
そうなんです…「建てた人」が支払います。
展示場を「見た人」の中の、ごく一部の
その会社で家を「建てた人」の
建築費から捻出されています。
実際に「入場料」を
取られていないということは
そういうことです。
こういった経費が掛かっているから…
大したことない家がとても高いんですね。
とても単純な話です。
こういった総合展示場を介して
住宅メーカーとお客様が出会う
住宅総合展示場が
建築業者と施主様の縁をとりもつ
そういった仕組みはまだインターネットも、
スマホも携帯電話すら一般的ではない
「大昔」からすでに存在していました。
とても古くて、無駄の多い仕組みです。
いまどきのインターネットとスマホを
自由に操る皆さまが違和感を持つのも
当然のことでしょう。